チッチッチッチッ
時を刻む針の音が、薄暗がりに響くのと同時に、俺の苛々も募ってく。
名前のない店に着いたのは、数十分前。
約束の時間はとっくに過ぎている。
ー連れてこられない、とか、ないよな?
櫻田花音にバレた、とか。
噂を流した張本人が、実は藤代だってことに。
あり得なくはない。
あの女、馬鹿な癖に、運が良い。
失敗、か?
ということは。
空生と接触しようとするかもしれない。
空生がどうして、花音の前から身を引いたのか。
その理由が、わかったとすれば。
あのバカ女は、絶対にルナに来るだろう。
「どっちの運が強いか、試してみようか…?」
5本目の煙草の煙を、天井に向かって吐き出しながら、呟いた。
俺の悪運も相当なんだよな。
お前と俺とで、賭けてみようか。
俺が、思い通りにいかないとか、信じられないんだよね。
今までずっと、目障りなもんは皆、消してきたんだからさ。


