「はいはーい、じゃ、私がとっておきの作ってあげる!」
語尾にハートが付いているのが目で見なくても分かる葉月の返事で、うっかり詰まった自分に気付き、立て直す。
空生が、傷付いてる。
あの頃、いや、それ以上に。
あの、女のせいで。
そんなこと、あるわけないだろうが。
「驚かない所を見ると、、さてはお兄ちゃん、知ってたでしょー。ずるい、教えてくれないなんて。新しい連絡先も知ってるんでしょー。ずるい、教えて欲しい。」
シェイカーを振るいながら、ぶつぶつ文句を言う葉月を無視しながら、空生に声を掛ける。
「最近、どうなの。」
「…どうって?」
漠然とし過ぎる話題の振り方。
当然、空生は怪訝そうな顔をして俺を見上げた。
大丈夫だ、空生の目は、変わっていない。
孤独の色が、濃くなっただけで。
「いや、仕事とかさ。」
「相変わらず、不真面目にやってるよ。」
漸く、自嘲気味に笑う空生に。
「部屋空いてるけど」
鍵を見せれば。
「……いや、いい。帰ってきたわけじゃないから。」
数秒。考えたような間の後、空生はまた、俺から目を逸らした。


