Live as if you will die tomorrow



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電話をしてから、一、二週間過ぎた位で。


仕事を頼みたい、と連絡したら、空生はルナにふらりとやってきた。




「え…あ、嘘。お兄ちゃん…零だ…」



最初に気づいたのは、葉月だった。


グレーのニット帽をすっぽり被って、裏口から音も立てずに入って来た所だった。

音を立てた所で、こんな騒がしい場所で、聞き取れるわけもないけど、そう感じる程、陽に当たると突然現れる陰のように、静かに登場した。


葉月が動揺するのも当たり前で、零は一度街から離れると、数年は帰ってこない。なのに、間隔を空けずに、数ヶ月で再び顔を出したのだ。



「ちょっと、えぇーーー、すごい嬉しい!」


「葉月五月蝿い。何飲む?」


真っ直ぐカウンターにやってきた空生に訊けば、空生は「何でも」と小さく呟く。


「何でも?」



馴染みの無い注文に、半笑いで訊き返すと、空生は俺と目を合わさないまま繰り返す。




「何でも良い」




一瞬。



時間が悪戯に逆戻りして。


知り合う前の、空生を連れて来たのかと、本気で思った。



-いや、それより酷い。