「おまけ、だよ?」
そう付け足せば、分かり易く花音の頬が引きつった。
「…おまけ?」
首を傾げて、理解できないと言う。
だって、お前自身、今回の空生のターゲットのおまけ、みたいなもんなんだから。
「そ。おまけって、なくてもいいけど、あったら嬉しいでしょ?そんな感じで、聞いてて。」
空生のおまけの話をしてあげる。
それくらいがお似合いでしょ?
足を組み替えて、煙草が欲しいなと思い、指がそれを見つけて、腕が口元へ運んだ。
「20年位前。ある街のごみ捨て場に、幼い男の子が、血だらけで立っていました。」
直ぐにふわりと煙が立ち、細く上る。
「通りがかった人の通報で保護された男の子は、なんとこの世に存在していませんでした。」
空生、知ってるか?
俺とお前は、本当にどこまでも、似てるんだってこと。
「名前も、なかったのです。」
だからさ。
分かってると思うけど。
「身体中痣だらけ、煙草を押し付けられた痕、目は腫れて、標準からかけ離れた体重。彼は母親と、そしてその恋人からネグレクトと暴力を受けていました。」
この女に、空生の痛みは理解できないよ。
「その母親は、彼が保護された日に、恋人の手で殺されました。」
俺は花音の目の動き、揺れを、一度だけ、見て、あの日、空生とした契約を、話した。
青ざめていく、その表情を、楽しみながら。
ね、お前には、理解できないでしょう?って。
空生が、あの時。
何を求めていたか、なんて。
わかんないでしょ?


