崇も、空生が帰ってしまえば、いつも通り。
月曜日はやってこなくなる。
癪に触るのは、昨晩、空生が「やめる」と言った際、崇が嬉しそうな顔をした事。
俺の事を裏切らないと言いつつ、崇は、何故か空生が全うな道を歩む事を望んでいるらしい。
俺と崇にとって、空生はいつだって、綺麗でー触れれば壊れてしまうほど繊細な存在だった。
だから、出逢った頃から、そっとそっと。
細心の注意を払って、ここまで育ててきた。
ーなのに。
飛んで行ってしまった。
進むべき方向も知らない癖に。
「聞いてる?お兄ちゃんってば。」
思考が彷徨って、戻らされて、ハッとした。
見れば、葉月が不思議そうな顔をして、俺を見上げている。
「ああ…ごめん。何か言った?」
振り払うようにして、小さく頭を振ると葉月が首を傾げた。
「出るってどこか用事があるの?って訊いたの。崇も居ないから。…大丈夫?手も怪我してるみたいだし。」
そう言って、布が巻いてある左手に触れてこようとする葉月をかわしつつ。
「手は平気。用事は内緒。」
そう答えて、コートを取りにスタッフルームに上がった。
階段の途中で聞こえたー
「ケチじじぃ」
妹の反抗には気付かなかったフリをした。
最近社会人気取りをしたくてたまらない葉月は、ルナの組織図も知りたがる。
オンブラのことに関してはバレない絶対的自信があったが、それにしたって、厄介な存在になりつつあることは、間違いなかった。


