要らない。
要らないそんな弱さも、甘さも。
カケラも必要ない。
壊れてしまえ。
全部。
全部。
一粒も残らず。
潰してしまえ。
気づけば空の雲は多く。
隙間から溢れる光は、素直に綺麗だ。
これを人は天使の梯子と呼ぶらしい。
こんなに綺麗な世界を、俺は知らなくて良い。
もしも頭の中の記憶が消せるのだとしたら、真っ先に消してしまおう。
現実は、いつだって、真っ黒だから。
傷がつくなんて思わないように。
傷だらけでも気付かないように。
早く。
塗り潰さないと。
そうじゃないと、直ぐにヤワな心が、勝手に動く。
ココロはいつだって、主人に簡単に嘘を吐く。
裏切る。
だから、轡(くつわ)をかけてやる。
暴れても、血だらけになっても。
手綱を操るのは、俺だ。