Live as if you will die tomorrow





それから数日というもの、空生はルナでステージに立つこともなく、すっぽかしも多く、ずっと不機嫌だった。



それは葉月も同じで。


俺が空生に忠告したのが日曜の夜。


顔の腫れがどうにか退いた葉月は月曜の夜ルナに来た。


零時まで待ったのに、来ている筈の空生は屋上へ行ったっきり降りて来ず、俺は葉月を呼びに行かせた。


その時にまた何かあったらしい。


が、葉月はそれを俺には話さない。


しかし、非常に腹の立つ出来事だったようで、空瓶を裏口で思い切りぶち割っていた。


結局空生も帰ってしまったし、そのせいでクラブも白けるし、最低の火曜日の始まりだった。




「めずらし…」



閉店後、片づけを終えて、スタッフを家に帰し、カウンターに戻ると、崇ががぁがぁといびきを掻いて寝ている。


いつもなら、誰かしらお持帰りして、気付くと消えてるから、こんな風に一緒に朝を迎えた事はほとんど無い。



「起きろよ。」



無駄だと分かっていながら、身体を揺さぶってみるが、起きる気配は皆無だ。



―置いてこ。



暖房を切り、冷えてくれば勝手に起きるだろうと、俺は崇を置いて、裏口から外に出た。



「崇も崇だ。」



外の冷気を吸い込んで、吐き出すと同時に苦々しく言い捨てた呟きは、女々しいと自覚している。


どちらも知り合ったばかりの女に、何捕まってんだ、という苛立ちが。

何も変わらない風景に入り込んだ見知らぬ風の影響が。

把握出来ないから、気持ちが悪い。



―大丈夫だ。空生はきっと俺を選ぶ。


何度も言い聞かせる。


俺はお前を理解してやってる。その女は無理だ、と。


崇の感情に便乗して、カノンの情報を仕入れた俺は、平々凡々な女の経歴を前に、僅かだが優越感にも浸っていた。



櫻田花音。


お前に、空生の傷は癒せない。