「いいよ、凛子さん。重いから、僕が運びます。凛子さんは、部屋の扉を開けてもらってもいいですか。」
「いえいえいえ、そんなそんな…!」
凛子は遠慮していた様子だったが、俺がどんどん歩いていくので、強制的に扉を開ける役目になった。
「葉月様!」
部屋の中では、乳母がやはり捜していたらしく、俺の腕の中で眠る葉月を見て安堵の表情になる。
成る程、聞いていた通り、喉が枯れている。
「あ、忘れた…」
葉月を、ベットまで運んだ直後、うっかりしていた、と呟いた。
「どうかされたんですか?」
俺の様子に気づいた乳母が訊ねる。
「葉月のお気に入りの絵本を、僕の部屋に忘れて来てしまったので…」
「ああ、お月さまのですか?」
頷くと、困ったように彼女は頬に手をやる。
「葉月様は、本当にあの絵本が好きで好きで…今から取りに伺いますね。」
「なんであれが好きなんですかね。特に楽しい話でもなかったですけど。」
ふと疑問を呈せば、部屋を出かけた乳母の顔が曇る。
「ここだけの話ですけど…静様が買ってくださった本だから、かもしれません。」
「いえいえいえ、そんなそんな…!」
凛子は遠慮していた様子だったが、俺がどんどん歩いていくので、強制的に扉を開ける役目になった。
「葉月様!」
部屋の中では、乳母がやはり捜していたらしく、俺の腕の中で眠る葉月を見て安堵の表情になる。
成る程、聞いていた通り、喉が枯れている。
「あ、忘れた…」
葉月を、ベットまで運んだ直後、うっかりしていた、と呟いた。
「どうかされたんですか?」
俺の様子に気づいた乳母が訊ねる。
「葉月のお気に入りの絵本を、僕の部屋に忘れて来てしまったので…」
「ああ、お月さまのですか?」
頷くと、困ったように彼女は頬に手をやる。
「葉月様は、本当にあの絵本が好きで好きで…今から取りに伺いますね。」
「なんであれが好きなんですかね。特に楽しい話でもなかったですけど。」
ふと疑問を呈せば、部屋を出かけた乳母の顔が曇る。
「ここだけの話ですけど…静様が買ってくださった本だから、かもしれません。」


