でもやっぱりー
「あのさ…「零っ!!やっぱりここに居たっ!」」
言いかけたところで、けたたましく割り込んできた声の主は、裏口からダッシュでカウンター迄やって来る。
「うるさいよ、葉月。」
だいぶ伸びた黒髪を垂らして、葉月は兄を無視し、空生の頭に向かって、ひどいひどいと連呼した。
「今日映画観に行くって約束したじゃん!何で待ち合わせ場所に来ないのよぉ!しかも金曜日も来てくれなくって、私寂しかったんだから!」
「葉月、零はちょっと具合が良くないみたいなんだ。」
「……」
突っ伏したまま、何も言わない空生を擁護してみるが、葉月は俺をギロリと睨み付けた。
「いたの?ってか、朝は崇に訊けばいいっていういい加減なアドバイスどうも。何にもならなかったわ。」
ーそうだった。
眠すぎて覚えていなかったが、そう言えば、葉月は朝から、空生の事を探していたんだった。


