まだ明るい道を歩き、吐き出す煙に苛立ちをぶつけた。
こんな時でも、自分からは笑いが出てくる。
ークラブにはもう来るな?
それはどんな感情から?
嫉妬?それとも保護?
理解できない。
今迄、空生の感情や行動の出所は、全部把握出来ていたのに。
今回の件においては、空生が動いた理由が、分からない。
煙草が大分短くなった事に気付いたのは、ルナに着いてからだった。
ーあれ。
吸い殻を投げ捨て、裏口の鍵を取り出したものの、戸は開いている。
警戒半分、予想半分で中に入ると、昼間の光が、僅かに隙間から入って、カウンターに突っ伏している金髪を照らしていた。
足音を小さく響かせ、スツールに座る空生の側に立つ。
「……何、してんの。」
眠りの浅い空生の事だ。こうして突っ伏す程疲れていても、目は覚めているに違いない。
「…ちょっと寝不足気味で…」
案の定返ってきた答えに苦笑する。
「いつものことだろ。」
一瞬の沈黙の後。
「最近こっちに顔出せない位忙しそうだけど、そっちの仕事の方はどうなの?」
敢えて訊かないでいた領域に踏み込んだ。
俺が関わらない件に関しては、空生からの報告がない限り、干渉しないつもりだったのだが、今回は少し気になる。
「んー…まぁ、手応えは、ある。大丈夫。」
空生は顔を上げないまま、面倒そうに呟いた。
「あとどの位かかる?」
「何…次があんの?」
「…まぁ、そんなとこ」
「……今週末には。」
そんなに早く終わるのなら、カノンとの関係も清算されるだろう。取り越し苦労になるか。
「…そう。」
空生の中で《区切り》が決まっているのなら、まだ、俺は出なくてもいいか?
迷う。
早い内に釘を刺しておくか。
それとも待つか。
気分屋の猫は、一度気に食わないことが起きると、直ぐに寄り付かなくなるから、慎重にならざるを得ない。


