「それ、俺の奢り。俺のお店に来てくれてどーもありがとう」
そして、さよなら。
驚くカノンに、社交辞令を笑顔で伝えて、この場を去ればいい。
なのに。
この形容し難い胸のざわつきはなんなんだ。
「まぁ、それは置いといて。」
訊かなくても良いのに。
「俺、内心驚いてるんだよね。」
自然と口が動いて。
「零はあんなだから、特定の物や人に執着することがないんだ。来る者拒むし、去る者は追わない。」
止せばいいのに。
わざわざこんなこと、こいつに教えてやんなくたって良いのに。
「零とカノンちゃんはどこで知り合ったの?」
俺は一体何に怯えてるんだ?
「え、えと…、」
このテンパってる女の方が、絶対に弱いだろうに。
「駅、から…会社に行く途中で、、ぶつかって…あ、私の勤めている会社、すぐそこの、、なんですけど」


