が、直ぐに思い出したのか、一気に顔が真っ赤になった。
「そっ、その節は、あの、その、なんといいますか、お見苦しい所をっ、す、すみませんでしたっ」
「いや、謝るのはこっちでしょう。…崇の悪い癖なんだ。」
勢い良く頭を下げる彼女に、俺は人が良さそうに振る舞う。
「俺の酒を飲みに来る客に声掛けちゃ、毎回あんな感じだからさ。だけど…今回は随分とお気に召したようだね。」
お前は、その他大勢の価値のない女共と何一つ変わらないんだよ、と暗に含めて。
「カノンちゃんに会いたいって騒いで五月蝿いよ。おかげでカウンターに誰も寄り付かない。」
わざと笑いながら、困ったように溜め息を吐いて見せた。
崇も、いつかみたいに、きっと直ぐ忘れて。
空生なんか、とっくに消してる。
「零も来なくなっちゃってねー。へそ曲げちゃったみたい」
お前のことなんて。
どうってことないんだよ。
ただ、自分は必要とされているんだなんて、勘違いされてるとウザいからー
「カノンちゃんはどっちを選ぶのかな?」
早い内に蹴落としておかないと、ね?


