Live as if you will die tomorrow

『ここにおいで。ここには光がある』



月は、そう言って、男の子を優しく招く。しかし男の子は、中々来ようとしない。



『そこには、夢があるの?』



不安気に訊ねる男の子。



『残念ながら夢はないけれど、温かいからきっと居心地が良いと思うよ。』



親切な月は、男の子を安心させるように優しく語りかける。



『それに、君が眠れないと言うのなら、私が一晩中、夢のような話を沢山してあげよう。太陽が起きてくるまで、ずっと。』



楽しそうな誘いに惹かれるが、結局男の子は、月の所へは行かない。


何故なら。




『あ、ママが僕のことを呼んでいる声がする。僕、行かなくちゃ。』




男の子が居ない事に気付いた母親が、彼を捜しに来たからだ。



『君は眠れるの?』



心配した月は、男の子に訊ねるが。


『うん、ママがいれば、僕は幸せで温かいし、素敵な夢を見れるんだ。だから、お月さま、おやすみ。』



男の子は自信を持って、答える。



そして、親切な月も、優しく笑って『おやすみ』の挨拶をする。