Live as if you will die tomorrow




怒ったカノンを崇が追い掛けて、カウンターが空になった頃、急いで駆けつけたらしい女が、きょろきょろと誰かを捜しているように見回す。

ーもしかして。



「さっきここに居た人のお連れの方ですか?」


弱り果て、彷徨っていた視線は、俺の前で止まる。


「…あ、はい。そうです。あの子どこにー」


カノンの友人だ。



「ちょっと悪い気分にさせてしまったみたいなのでお友達に謝っておいてください。」


出口に目をやってから、申し訳なさそうにそう言うと、女は一瞬考えて。



「…なんであんなことになったんですか?」



一部始終を見ていたらしく、当然のことを訊いてくる。



「崇ー相手の男ですけど、それが喧嘩を売ったんだと思います。」


確実にね。



「…そう、ですか…」



解せない表情を浮かべた女だったが、直ぐにぺこりとお辞儀して出口へ向かう。


ーこっちも慈善事業じゃないんで、ね。


その背中に小さく舌を出した。

邪魔な物は要らない。