ー『唾つけりゃ良いんだよな。』
そう。
お前ホントに馬鹿だね。
空生に喧嘩売るつもりなの。
だけど今回はそれに同意。
「カノン、、、ちゃん?そいつ素面だよ。酔っ払っちゃいない。ザルなんだ」
怪訝な顔をして崇を見つめる女に、崇は本気で言ってるんだと証明してやるとカノンは更にぎょっとした顔をする。
「何?カノンちゃん俺が酔っ払って絡んでると思ってるの!?」
「え、いや、あの、そうでなくてですね…」
カノンの考えていることはわかりやすすぎて、頭を使う必要すらない。
どんなに可能性はなくたって、危険因子は無い方が良いに決まってる。
「お、始まるな」
零の時間に合わせて、会場は騒がしく、照明は落とされ、悲鳴に似た黄色い声が上がった。
正解は、直ぐ後ろにいるというのに、カノンはそれを見ようともせず、時間ばかりを気にして、焦っている。
「あのっ、本当にっ、教えていただけないですか?私達もう行かないと。」
「だからぁ、ほっぺにちゅー」
こんな女、空生の仕事にすら、利用価値は無いよ?


