今日は友達を連れて来たわけか。
目を点にして、カノンは暫く唖然とした顔をしていた。
ーしかし。
解せない。
なんで、空生の詐欺と関係のある人間が、このルナに居る零に会いに来るのだろう。
空生は先日、この女を持ち帰ったのではなかったか。
それには一体何の意味があったのだろう。
空生と「何か」あった女ならば、何故平然とここに来ることができる?
「燈真。この子にとりあえずスプモーニ出してやってよ。軽くつまむものもね。」
崇の注文に、どうやら女がまだ食事をしていないんだということにも気付き、平然を装って頷いた。
「おっけ。っていうかこないだの子でしょ?何しにここに来たの?復讐?」
崇が知るはずもないとは思っていたが、単刀直入に訊ねると。
「なーんか知らないけど、そういうんじゃないみたいなんだよな。」
崇は気の抜けた感じで、肩を竦めて見せた。
ーだよな、その感じは俺にも伝わる。
やっぱりわからないよな、とまだ友達の行方に途方に暮れている女の背中を一瞬だけ見やり、シェーカーに手を伸ばす。


