視界の端に、チラつく、いつかの、風景。
校門の外。
階段の途中。
笑った顔。
泣いた顔。
寒そうな、襟足。
細い、線のー
「燈真ぁ~この子に似合いそうなの、作ってやって。」
呼ばれて、反応するのに、2,3秒、掛かった。
「あ…?」
かろうじて訊き返すと、崇はあっれーと首を傾げて見せる。
「めっずらしー、燈真、怒ってんの?」
「…は」
言われたこっちが首を傾げたい。
だが、崇は自分の眉間を指して。
「ココに皺が寄ってるよ。燈真は大抵笑ってんのにな。」
怒ってても、と付け足して、崇は口説き落としたらしい女と席を立った。
「ま、いいや。今夜は帰る。零もいなくなりやがったし。」
そう言って、いつもよりやや早めの時間に、崇もルナから姿を消した。


