「さっきの?しょうがねぇだろー、ここは俺のテリトリーなんだから。」



崇が不満そうに口を尖らせる。

その表情を見て、昼間の妹にそっくりだと心中で笑った。



「さっきの、だけじゃないし、お前のテリトリーでもないから。」



呆れて言い返せば、崇は頬を膨らませるが、どこか楽しげだ。



「俺は、試してやってんの。零のコトを本当に好きなのかどうか。残念ながら今んところそんな女は居ないけどねぇ。」



「そんなん、零も余計なお世話だろ。迷惑なら今の内に言っとけ?」


会話に入らず、空のグラスだけ、小さく掲げた空生はー。


「崇には感謝してるよ。邪魔なの消してくれて。」


無表情でそう言い切って、立ち上がる。



そんな空生に目を向けながら、崇は。



「だろ!俺ってやっぱり役に立ってるだろ?!ほらほら燈真、言った通りじゃねぇか。」



ふて腐った顔から一転、今度は偉そうにふんぞり返った。