海月物語。

　その夜、来海は、いつものように夕飯を準備し、海斗の帰りを待った。
「ただいま。」
「お帰り。」
来海は、玄関まで走った。
「なんか、良いことあった？」
海斗は、来海の明るい様子を不思議に思う。
「就職が決まりました。」
来海は、自分に拍手をした。
「そうか。おめでとう。」
海斗は、笑顔でいった。
「でも就職してからがたいへんなんだから、しっかりね。」
「それでね、社宅借りれることになったの。いつまでも海斗におんぶに抱っこじゃ、申し訳ないから。」
海斗は、真顔になった。
「え？まだうちにいて良いんだよ？」
「んーん。いっぱい海斗に迷惑かけちゃったから‥これ以上はダメだよ。」
「そ、そっか。で、いつ？」
「明日。」
「あ、明日？また急だね。俺明日仕事だし手伝えないよ。」
「大丈夫。私の荷物少ないから。」
来海は、ハイテンションで海斗のご飯の準備をし始めた。海斗は少しショックを受けたようだった。