海月物語。

　来海は、客間の部屋を見渡した。桐のようなタンスとベッド、カーテン以外に何もない。しかし、シーツやカーテンは、ピンクに統一され、女の子の部屋という印象である。来海は、ベッドに横になると、すぐ眠ってしまった。気付くと、夕方になっていた。来海は、何かやろうとリビングに行く。食器は洗われてるし、洗濯も干されていない。ソファに座り、ぼーっとした。
«ガチャッ»
玄関が開く音がした。
「ただいま。」
遠くで海斗の声がした。海斗は、リビングに入り電気をつける。
「うぎゃぁぁぁぁあ!!!」
来海がソファにいることにびっくりした。
「で、電気ぐらいつけろよ。いないのかと思ったら、びっくりしたぜ。」
海斗は、来海の横のソファに座る。
「大丈夫？」
海斗は、来海の顔を除いた。
「お、お帰りなさい。」
来海は、緊張した面持ちで言った。
「ただいま。」
海斗は、にっこり微笑んだ。
「私、なにもできなくて‥」
「いいよそんなの。まだ体が本調子じゃないんだよ。」