海月物語。

 海斗は、来海にタオルを出してあげた。来海は、とめどなく流れ出る涙をタオルで拭いた。
「アパートに帰れなくて、どこにいたの?」
海斗は来海に優しく聞いた。
「水族館の外の海に繋がるトンネルの下にいました。」
水族館は、すぐそばに海岸がある。海岸から少し高台に水族館があるため、階段がある。その階段の真下がトンネルのようになっていた。
「あ、あそこはナンパスポットだぞ!?怖い思いしなかったのか?」
海斗の大声に少し来海は、驚いた。
「誰も来なかったです。」
来海は、驚きのあまり、涙が止まっていた。
「これからどうするの?行く当て、あるの?」
海斗は落ち着きを取り戻した。来海は海斗の問いかけの答えを探していた。
「すきなだけ、いていいぞ。」
海斗は、優しく言った。来海は静かに鼓舞しを握った。