海斗は、木の食卓テーブルの椅子に座った。来海にも、対面の椅子に座るよう促す。テーブルの上には、まだスーパーの袋が置かれていた。
「元気そうだし、少し話聞かせて。」
海斗は、腕と足を組み、笑顔で言った。
「まず、親はどうしたの?」
海斗は優しい笑顔で直球に聞いてくる。
「私の親は離婚していて、引き取られた母も、新しい男と出て行って。連絡先もわからない。」
来海は、うつむき、正直に答えた。
「来海ちゃんの住所は?」
「ないです。」
「それは、わかったんだけど。どして?」
「彼が亡くなって、それで。」
「彼氏と住んでたの?」
来海は頷いた。
「どうして彼が亡くなると家もなくなるの?」
「家賃、彼が払ってくれてたから。」
海斗は言葉を失った。来海は話を続ける。
「私、彼とは幼なじみで。中学生頃から付き合っていて。高校卒業したら結婚しようって約束して。彼は就職して。私は、専業主婦で良いって彼が言ってくれたから就職はしなかった。彼の稼ぐお金でアパート借りて。これから婚姻届けだそうとしてた矢先、サーフィンで事故って‥‥」
来海は段々悲しい過去を思いだし泣き始めた。海斗は黙って話を聞き続ける。