***
金曜日の夜。
――ここか……
のれんを潜り、ガラガラと扉を開けると
「いらっしゃいませ!」
賑やかな居酒屋の一角で、紫月に手を振る2人がいた。
「おーー 紫月元気か~」
「社長!」
ハッピー印刷の幸田社長と相原だ。
「急で悪かったな」
「いえいえ とんでもないです!」
すっかり体調も回復し、手続きやら後始末やらを全て済ませた幸田社長が、
いよいよ田舎に引っ越すことになったとの連絡を受け、
急遽快気祝いと送別会をすることになった。
「お互いの前途を祝して」
「「 カンパーイ 」」
「どうだ? 紫月、
新しいとこ、すごいだろ?」
「はい! もう何もかもがビックリですよぉー
でも……私はハッピー印刷が懐かしいし、あの頃のほうが良かったなぁ」



