名刺入れに隠された社長の想い……
それは何なのか―― まだわからない……。
社長はゲイではない。
なのに、女の陰もないばかりか
No1を誇った自分を含め、どんな女性に対してでも
社長が女性に対して特別に瞳を輝かせるところを見たことすらなかった。
それが、どうだろう。
あの創立記念パーティ会場で、夢野紫月を見た瞳だけは違っていたのだ。
社長は一瞬で目を逸らしたが、
曄は見逃さなかった。
それから曄はそっと観察しているが、
社長はあえて夢野紫月を見ないようにしているように思えて仕方がない。
曄にとって社長は恩人である。
社長を大切に思うそれは男と女の愛情とは少し違っていて、心からの尊敬の対象だった。
名刺入れの謎はわからないが、自分に出来ることは全て力になってあげたいと思っている。
まだ何もわからない――
でももし勘違いなんかじゃなく
あの時の瞳の輝きが社長の恋の輝きだとしたら……
どうかその恋が叶いますように――
想いが届きますように
そう願いながら、曄は足音を殺してそっと廊下を進み
エレベーターに乗った。



