曄は頭が悪いと自分を卑下するが、
パソコンは紫月よりも使いこなしているのを、紫月は知っていたし、
曄の作る書類を見ても、頭が悪いはずはなかった。
そればかりか接客や感じの良さは目を見張るものがあり、
そもそもNo1は美人というだけでは取れるはずもないことは、キャバ嬢の経験がない紫月にも容易に想像ができた。
こうして心配して差し入れを持って手伝いに来てくれる気づかいや、さりげない優しさ……
好かれて当然だ――
『お前いい加減にしろよ 曄のこと言ってるのかもしれないが、あいつは精一杯生きているんだ』
蒼太の言葉を思い返しながら食べたチャーハンは、
自己嫌悪と、紫月の心の涙の味がした……。
「――珈琲入れてきます」
逃げるようにその場を離れた紫月の後を追うように、
曄もまた
「私、ちょっと自分の席に行ってきますね」
と言って席を立った。



