抜き差しならない社長の事情 【完】


「曄、お父さんは? その後どうなんだ?」

「お蔭さまで、もう随分よくなってぇ」


「……」

相原の質問を聞いた紫月は、ハッとした。

曄の打ち明け話を聞けば、普通なら課長のようにお父さんの心配をするだろう……
 なのに、自分は懲りもせずに蒼太のことばかり……

そう思いながらゴクリと息を飲んだ。


「お客さんで来ていた社員もいるし、皆知ってるんだと思いますけど、会社のイメージが悪くなっちゃうといけないから、キャバ嬢だったことは秘密ですよぉ」

と曄はクスクス笑う。




――家が窮地に陥って、曄は自分に出来ることを見つけて頑張った

 なのに同じような状況にいた自分は、オロオロする両親を見ながら何もできずにただジッとしていた……