「私、実家がレストランやっていて、お店はそれなりに繁盛していたんですけどね、パパがちょっと病気しちゃったんですよ。
とにかくお金が必要なのに私はパパの代わりに料理を作ることもできないし、この通り頭が悪いからキャバ嬢しか思い浮かばなくって」
「曄、お前は勉強はできないかもしれないが、バカじゃないぞ」
「フフフ、ありがとうございます。
私ね、これでもそのお店でNo1だったんですよ」
「さすが! すごい」
「でも、いつまでも続けられる仕事じゃないでしょ?
いくらお金が貯まっても、パパは嫌がると思うし。
それでねお客さんだった切野社長に雇ってくださいってお願いしたんです。
切野社長は、あの通り真面目な人だから信用できるとふんで『私、珈琲は美味しく入れられますから』ってね」
「……社長、常連だったんだ」
「常連っていうか、接待に使ってくれたんですよぉ、
そういうの好きなお客さまっているから」
「切野社長は二つ返事だったの?」
「はい、なんか、私がお金がほしい理由を知ってたみたいで、じゃあ秘書になるかって。
それでここに来ました」



