***
「よっし、あと一時間くらいで終わるかな」
「先に帰っていいんだぞ、一人でがんばってたんだから」
「ダメですよ! 私のミスだもの。
それに私が一人でやったのはせいぜい三十分くらいですもん。課長こそ疲れてるのに本当に帰って大丈夫ですよ」
などと言いながら時計の針が8時を回ったところで
「あれ? 曄ちゃん」
ひょっこりと社長秘書の曄が顔を出した。
「はーい。差し入れですよぉ」
曄はチャーハンや酢豚の入ったパックを出しながら
「お手伝いしまーす」と言って、
広いテーブルの紫月の隣にちょこんと座った。
「私ねぇ 頭は悪いけど、シール貼りくらいは出来るんですよぉ」
ニコニコと笑う曄を見ながら、
紫月は、蒼太が曄を好きになる気持ちがよくわかる気がした。
曄は本当に可愛いし、嫌味のない優しくていい子なのだ。
蒼太のことを抜きにすれば、もっともっと親しくなることができただろうと思う……。
「ありがとうね、曄ちゃん」
「うふふ、どういたしましてぇ」



