「お、早速か。感謝しろよ俺が社長に言ったからだぞ」
「え?」
「何か困ったことはありませんか? って聞かれたから、
俺はないけどお前が制服がほしいって言ってたってな」
「そうだったんですか、
ありがとうございます課長~」
――相原課長はすっかり社長に頼られているからなぁ
元々相原は優秀な営業マンだ。
ハッピーのような小さい潰れかけの会社にいたのは心のリハビリのためで、その証拠にここ『Kg』に来てからは水を得た魚のように成績を出している。
そもそもハッピーの幸田社長の力など借りなくてもいくらでも転職先に困らなかったはずで、むしろ切野社長から是非にと入社を誘われたのかもしれないと、紫月は思っていた。
夢野が困っているからではなく、相原に頼まれたからと、社長は制服の話もすんなり引き受けたのだろうと想像したが、
これでまた一つ辞めたい理由が減ってしまったと、
紫月は心の中で小さく溜め息をついた。
辞める正当な理由が見つからない……



