抜き差しならない社長の事情 【完】



――お前のこと色々心配してたぞ 社長は……

そう言おうとした相原は、
紫月がなぜ切野社長を嫌うのか首をかしげた。


 
相原が残業していると、時々フラリと現れる切野社長は、

仕事の話のついでという風ではあったが、紫月を気にかけている様子が見てとれる。


『夢野さんはひとり暮らしですか?』

『え? いや彼女は友人とシェアしてるらしいですよ』

『シェア……ですか? 家族じゃなくて?』

『あ――…… 夢野の両親は高崎のほうにいるんですよ』

『高崎? ……』

『――どうかしました?』

『いえ、女性の独り暮らしは大変だろうなぁ てね』

などと話をしたもの、夕べのことだった。