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それから更に一週間が経ったが、
「見積書できました」
「お、サンキュー」
『Kg』での紫月のOL生活は滞りなく過ぎ、
これと言って事件らしい事件も起きなかった。
相変わらず、元恋人である切野社長を見かけることは稀だったし、
心に沈むどんよりした物を簡単に無くすことはなかったが……
それ以外では――
紫月が任された仕事は
ハッピー印刷にいた頃と変わらない営業事務である。
当然ながら扱うものは違うし、
書類は同じではないし、
時々頼まれるプレゼンの資料作成には眩暈がするほど頭を悩ませるが、
その苦労を差し引いてもあまりあるほど、Kgは魅力的な会社だった。
お給料もいいし、何より胸がワクワクするような素敵な社屋に素敵な自分専用のこのスペース。
何もかもが新しくて輝いて見える。
蒼太がここの社長である事実を、自分の中で乗り越えることさえ出来れるなら、
――そう……それさえできれば



