抜き差しならない社長の事情 【完】


どう見ても自分と同じくらいの歳に見える若き専務の服装は、
ジャケットこそ着てはいるが、その中は襟のないカットソーだ。


「よろしくお願いします」
と、紫月は慌てて頭をさげた。



ドキドキと緊張しつつ、

キュッと唇を噛み、

気を落ち着かせようと静かに息を吸いこんだ紫月の耳に、


カツカツ と、ゆっくりと足音が響く。



そして、テーブルを挟んだ正面に社長が座った。


テーブルに落としていた視線をゆっくりと上にあげると、


 !


 …… ぇ?


 どうしてここに?



「社長の切野蒼太です」



7年前に別れた紫月の元恋人が、薄い微笑を浮かべて名刺を差し出した。



「どうぞよろしく」



―― 蒼太 ……