それから目に入ってきたものは、
薄いグレーの床にシンプルでスタイリッシュなテーブルと椅子。
そして、観葉植物が一つ……
余計なものはない。
この麗しい社屋を代表するに相応しく、
そこはどこまでも清潔感が漂う、明るい中にも凛とした落ち着きがある空間だった。
窓から斜向かいの壁(壁には専門書と思われる本がずらりと並んでいる)
に背を向けて、
これまたお洒落なデスクに座る
社長と思われる男性が、手元の書類に目を落としている。
―― あ、ストームグラス……
デスクの隅に、しずく形のガラスのオブジェがあった。
紫月が、私もストームグラスを持っていると思った時、
デスクの脇に立つ男性が紫月たちに微笑みかけた。
「どうぞ、そちらに」
促されるまま、相原の後について無機質なスチールの椅子に腰を下ろすと、
向かいの席に腰を下ろした男性は、
「専務の神田です 夢野さんとは初めてですね」
と、ニッコリと微笑んで名刺を差し出した。



