抜き差しならない社長の事情 【完】


――あわわ、なに暗くなってるの、私ったらこんな時に

雑念を振り切るようにパチパチと瞬きをして、
深呼吸をしたところで、

チンと軽い音が響いた。



5階でエレベーターを下りると、

正面に見えた若い女性がスッと立ちあがり、

微笑みながら紫月たちの元へ歩いてきた。


「こんにちわ 相原さん」

「相変わらずかわいいね、ハナちゃん」

 クス


「ありがとうございまーす……えっと」

「夢野と言います。はじめまして」


「はじめましてこんにちは。
 秘書の元木曄と言います。よろしくお願いします」


元木曄(もとき はな)は、その可愛らしい名前が表す通り、
花のような笑顔で挨拶をした。


秘書とはいってもバリバリのキャリアウーマンという風ではない。


フワフワと毛先が内側に巻いている明るい色の髪といい
淡いピンクのチークがよく似合う笑っているような目元といい

彼女が甘く微笑みかけるだけで、その場の空気を一転させるに違いなく……

元木曄は、全身がピンク色の綿菓子で出来たような、

色白巨乳の超絶美人だった。