抜き差しならない社長の事情 【完】



ソファーの背もたれから体を起こして、

紫月に向き直した蒼太は、




両手で紫月の頬を包み込み、


  ――そっとキスをした。






唇が離れると、


「ずっと一緒にいたいんだ」と蒼太が言った。



「……蒼太」



「なんか俺、ダメだ

 紫月の気持ちに合わせてゆっくりと思ったけど

 抜き差しならない感じだよ」


「ぇ?」



その言い回しが可笑しくて、

つい笑いそうになった紫月の唇を、蒼太のキスが塞いだ。







ソファーに倒されて


  その勢いのまま繰り返されるキスは――





時に強く強引で


  泣きたくなるほど優しくて……



焦がすように熱く見つめる蒼太の瞳に


   紫月の世界は、蒼太だけになった…… 








*- fin -*