抜き差しならない社長の事情 【完】



午後10時。



一人でいる時なら、そろそろお風呂に入る時間。






――蒼太、今日も泊まって行くの?


   心の中でそう聞いても 声には出せなかった。






たった2週間ではあるけれども、

蒼太を部屋に迎える度に

 離れていた空白の年月が、愛情で埋め尽くされていくようだった……。



 

もし今、今夜は帰るよ と言われたら、

 どこかに姿を隠している不安な影が、心の中に忍び込んでくるかもしれない……




そんなことを思って、キュウキュウと切なくなる胸に唇を噛みながら、
ストッ と、蒼太の肩に頭をのせると


絡めていた蒼太の指先に、ギュッと力が入った。




「紫月」


「ん?」


「週末、ご両親に挨拶に行きたい」


「……ぇ?」