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紫月は立ち止まって眩しそうに『Kg』の社屋を見上げた。
ここに初めて足を踏み入れたあの日のように。
「……」
でももう、眩しさに顔をしかめることはない。
「おはようございます」
「おはようー」
すっかり板についた朝の挨拶を交わしながら、エントランスを潜り抜けると
「紫月さぁん、おはようございまーす」と、後ろから声が追いかけてきた。
振り返ると、そこにいたのは
「うわっ 曄ちゃん かわいい~」
春らしいワンピースを着た曄だ。
「ウフフ、今日はデートですからね
紫月さんもぉ、すっごく素敵~」
紫月も今日は珍しくワンピースを着ていた。
「制服に着替えちゃうのもったいないけど、アフターファイブの楽しみですよねぇ~」
クスクス
何しろ今日は――



