抜き差しならない社長の事情 【完】



「…… そうなの?」


「ああ」


「――じゃあ……

蒼太が……
 あちこちのマンションに
それぞれ別の女の人を住まわせてる……って話は?」


「はぁ? ――なんなんだそれは」


絶句した蒼太は、
目をつぶって呆れたように首を振ると、

「あちこちにマンションを持っているのは本当だ。
でもそれは不動産屋を通して、ちゃんと契約した人に貸している。
ついでに言うなら、一か所だけ無償で貸しているところが確かにあるが

――ここだよ」


「え?  ここって?  ここ?」

「詳しいことは亜沙美に聞いてくれてもいいけど、ここはごめん、俺のマンションなんだ」


「え!!!」


「ごめん、バレンタインの後だったかな、前のマンションで待ち伏せして亜沙美と話して

……ごめん」



「いや、別に……

あやまらなくても――

 じゃあ……

蒼太は、もしかして、

 ――付き合ってる人、いないの?」



「いないよ」