抜き差しならない社長の事情 【完】




「え?」



箸を置いた蒼太は、真剣な顔をして

「『Kg』にいてくれないか 頼む」と言った。


「…… 蒼太 

でも蒼太、気まずくないの?
曄ちゃんだって昔の彼女がいるって 知ったら」


「え? なんで曄の名前がでるんだ?」


「だって、付き合ってるんでしょ」


「違うよ、曄は俺じゃない 神田と付き合って、
いや、こういうことは正確に言ったほうがいいな。

いいか、曄はな、神田のことがずっと好きで、
この前のバレンタインに告白して付き合い始めたんだ」


「――…… 神田専務?」


「ああ、神田だ。
それに俺と曄は一度もそういう関係にも、感情にもなったことがない。

 そうか……社内の噂か
……俺が曄に噂は放置するよう頼んだからな……、色々と面倒だと思ったから」


そう言いながら
やれやれとばかりに、蒼太は溜め息をついた。