抜き差しならない社長の事情 【完】


「すごいよ!ママ ママすごい!」


涙を堪えたが、紫月はなんだか泣きたくほどうれしかった。


「ウフフ、ねぇ紫月、パパもエライのよ、こっちの商工会のみなさんと協力してね」


うんうんと頷きながら、紫月は自分だけじゃなかったと胸が締め付けられる想いがした。


 パパもママも―― みんな、頑張っているんだ……



朝食を済ませた紫月は、
「散歩をしてくるね」と言って家を出た。

この家にはお正月くらいしか来たことがなかったし、すぐに戻ってしまったので周りのこともよくわからない。


家は店舗兼住宅で、それなりに栄えている場所にある。


都会と比べると人影は随分とまばらだったが、それすらも今の紫月には、居心地がよく思えた。


高層ビルに囲まれた都内と何より違うのは、空が広いことだった。





紫月は眩しそうに空を見上げた。


……探せば、こっちでも仕事が見つかるかな