抜き差しならない社長の事情 【完】




  ***




「実家に行くのか?」

「はい。お正月には帰ったから、しばらくは帰らないつもりだったんですけどねー」


「ふーん。何かあるのか?
あ、またお見合いの話か? お袋さんも粘るなぁ」


「あはは ほんとですよねぇ」


クスクス


「え?
 紫月さん、お見合いするんですかぁ?」


「あ、曄ちゃん」


「はーい、お客さまから頂いたお菓子ですぅ 女子の分しかないんですよぉ。
冷たいうちに召し上がれ」


「わーい ありがとう
じゃ、早速珈琲いれて頂こうっと」




――お見合いの話、曄ちゃんに誤解されちゃったかな……

と思いながら、
紫月はまぁいいやと、軽く息を吐いた。


最近特に、曄の弾けるような若さと明るさが眩しくて仕方がなかった。


 その眩しさがそのまま私の心の影を作り出して、私はどんどん卑屈さを覚えていく……