抜き差しならない社長の事情 【完】



そしてメールを閉じ、切り替えたスマートフォンの画面を見つめた蒼太の瞳に映るのは、

『Kg』を設立する以前に蒼太個人が作ったゲームアプリだ。



『紫月、
変な男に絡まれないように、ゲームをする時に使うハンドルネームは男っぽくするんだよ』


『うん、わかった。
じゃあ―― わたしが昔飼っていたハムスターの名前にするね!』



育成ゲームで、蒼太自身が唯一友達になっているハムスターのケンタ。

ケンタの家に行き日記を開いた。


ここ何か月の間、なにも書かれていなかった日記には、新しい書き込みがあった。



『うれしいことがあったハム!

 捨てる神あれば拾う神もいるハムね!』



クスッと笑った蒼太は、ノートにコメントを書いた。



『良かったね 僕もなんだかうれしいよ』