抜き差しならない社長の事情 【完】




  ***




亜沙美には学生時代から付き合っている恋人がいる。

「え? 結婚!!!
 おめでとう亜沙美~」


「ありがとう紫月」

相手は紫月もよく知っていたが、

実は昨年の年末に、亜沙美は正式にプロポーズをされていた。


そしてお正月休みの間に結婚に向けての具体的な話が決まってきていたのだが、
紫月がちょうど転職やらで大変なことになり
亜沙美は話を切り出すタイミングを見つけられずにいたのだ。


亜沙美の恋人はすぐにでも入籍して、一緒に住みたいと言っていたし、
それについては親も了承済みなのである。

でもそうするには問題があった。
彼の元に行くとなると、この部屋に残る紫月は家賃全額負担するか、別の同居人を見つけるか、もしくはどこかに引っ越しをしなければいけなくなる。



「え? 先に入籍して住むの?」