抜き差しならない社長の事情 【完】



時折何かを言おうとして口を開けたものの、

何をどう言っていいか、

亜沙美の剣幕に圧された切野蒼太は声を出すこともできなかった。



かんかんに怒ったままの亜沙美は、そのままマンションの入り口に向かったが、

我に返った蒼太があらめて


「あ――亜沙美 あの……」

と、声をかけると、亜沙美はくるりと振り返った。



「蒼太、あんた紫月に申し訳ないって思ってる?」

何についてかよくわからなかったが、申し訳ない気持ちでいっぱいであることに違いなく、

蒼太はうんうんと頷いた。


「そう……
 あんたの気持ち次第によっては、ちょっと相談があるんだけど」

そう言われて、蒼太は更に大きく頷いた。