抜き差しならない社長の事情 【完】




  ***





その日の夜、

残業してそろそろ帰ろうかと思っていたる相原のもとに、切野社長が来た。



「相原さん、この後 軽くどうですか?」



月曜から飲みに行く?

そう考えて一瞬怯んだが、相原は「あ、いいですねー」と快く答えた。



『Kg』からほど近い場所にある焼き鳥店に入った二人は、

軽くビールで喉を潤しながら、
他愛もない世間話に花を咲かせた。


仕事に関係することだけでも、話題には事欠かない。


若い社長からすれば相原から学ぶことは多かったし、
仕事の内容となれば、逆に相原が切野社長から教わることが多い。


そうこうするうち

やがて、話はプライベートな話になり……


「相原さんはずっと一人ですか?」と

切野社長が聞いた。