「あ、――あぁ アハハ すいません。
私ちょっと勘違いしちゃって社長に失礼な事言って アハハ 何でもないです。
ちなみに社長は何にも悪くないですからね」
噂好きな保科女史に疑いをもたれては厄介だ。
余計な誤解を招かないで済むよう、紫月は精一杯明るく笑って言ってみた。
すると保科さんは――
「あ、そう…… なんか私社長の変なことばっかり紫月ちゃんに吹き込んだから、紫月ちゃん、社長のこと何か誤解しちゃったかなとか思って」
少しシュンとして俯いた。
「マンションの女の話も、曄ちゃんのことも単なる噂話のつもりだったんだけど、
俺が社長なら君は速攻クビだなって、この前ね、相原さんに叱られちゃった」
「え?
―― そうなんですか……」
そういえば相原はふざけているように見えて、
根も葉もない噂話は嫌う人だと、紫月は思い出した。



