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週明けの月曜、
「あ、そういえば明後日のバレンタインって会社は皆さんどうするんですか?」
バレンタインどころではなかった紫月は、まだ何も用意をしていなかったので
保科女史にそう聞くと、
「あげない人もいるけど、みんな適当に自分のチームの人と社長と専務にあげてるわね。
たとえば私は千円で大袋のチョコレートを買って、小分けにして渡す。そんなもんよ」
と言う。
「え? 社長と専務にも渡すんですか?」
「もちろんよ、ここだけの話、私は旦那と同じ物をあげているわ、うふふ。
社長と専務は気を使わなくていいからって言うんだけど、日ごろの感謝だから受け取ってくれって皆で熱心に訴えてね。
その日だけは社長室をノックしてもいいのよ。滅多に話せる機会はないから貴重でしょ」
「――そんなに沢山もらっても食べきれないでしょうに」
「もちろんよ、だから迷惑にならないようにみんな小さい物にしているわ。ちなみにホワイトデーには社長と専務からケーキの差し入れがあるの」
「そうですか……」
紫月が少し考え込んだところで、保科女史は紫月を伺うように覗きこんだ。
「そういえば、紫月ちゃん、社長と何かあったの?」



