「あーあ、次の塾、何処にしようかなぁ……」


教育用おもちゃで遊ぶ息子・ゆうとをぼんやり見つめ、海坂奈々未は溜め息を吐いた。


最新型スマホには、『小学校受験塾 低価格』と打ちかけた検索画面が表示されていた。


すっかり冷たくなってしまったカフェラテを、奈々未は一口飲む。


生温い感触が喉元を通っていった。


その感触がまた不快で、奈々未は顔を顰める。


広い高級マンションの一室には、冬並みの寒さの冷房の音と、おもちゃで遊ぶゆうとの楽しそうな笑い声だけが空しく響いていた。