「おかあ、さん……?」
何がなんだかわからなくなって、もう頭が真っ白になって、膝から崩れ落ちた。
お母さんの周りには赤く染まった絨毯。
息をするのもやっとなお母さん。
「どう、したら、いいの……?」
「お母さん、いなくなったら、どうしたらいいの!?」
もう、逃げなきゃとか忘れてた。
ただただ、泣いてた。
「柚花…」
そうわたしの名前を呼んで、お母さんはわたしの頭を撫でた。
《柚花、泣かないで……?》
《柚花は笑ってるのが一番可愛いんだから。》
お母さんはもう、覚悟しているのかもしれない。
お母さんは、
笑ってた。

