ただ、キミの手を


揺れが少し落ち着いた頃、わたしはお母さんの寝室に向かうため、リビングのドアを開けた。







うっ、う……



思い出す度に胸が苦しくなる。

どうしようもないことなのはわかってる。

誰が悪いとかじゃない。



でも、わたしがあの手を、離さなければ……








「お母さん!?」



家具が倒れ、食器の破片だらけのぐちゃぐちゃな部屋で、


お母さんが、





倒れてた。






「ゆず、か……!」








でも、下半身が本棚の下敷きになってて。




わたし一人じゃ、助けられない。